この曲の始まりは、老舗の蕎麦屋で居合わせた出来事でした。店内の騒がしさを、それまでは自分もやり過ごしていた。そこへ、ひとりが声を上げる。その姿を見て、はっと気付かされました。

最近の自分たちは、いつの間にか事なかれを良しとして、あえて戦うことを避けていたのではないか。心に引っ掛かることがあっても、波風を立てずに済ませる。そうするうちに、大切なもののために声を上げる覚悟まで、忘れかけていた。その気付きを与えてくれたことに胸を動かされ、この感動を歌に残したいと思いました。

誰かにどう思われるかを気にして、自分は言わずに済ませてしまう。それでも、譲れないものの前では口を開きたい。変わり者だと思われても、リスクがあっても、自分が大切だと思うもののために立ちたい。この歌には、そんな自分への呼びかけを込めています。

やり過ごしていた自分を、二行にする

その場をやり過ごしていた自分と、実際に声を上げた人。この二人の違いが、歌詞では次のような表現になりました。

あの人ひとりに 悪役を預け
俺は無傷の いい人でいた

この二行では、出来事を振り返る視線が、自分に向ける問いへと姿を変えています。

「悪役を預け」と置くことで、嫌な顔をされるかもしれない役目を、誰かが引き受けていたことが見えてきます。「無傷のいい人」には、自分はそのリスクを負わずにいた、という苦さが入る。事なかれを良しとしていた自分への気付きが、他人に役目を預ける姿と、自分だけが無傷でいる姿に凝縮されています。

自分も問われる歌にする。その働きを、この表現が担っています。

忘れかけた覚悟を、自分への呼びかけに

もう一つ、歌詞にするときに形を変えたのが、「自分も声を上げたい」という気持ちです。

Be quiet! 黙るな、俺よ
守りたいものの 前に立て

初めの「Be quiet!」は、その場を静める言葉でした。最後には、その二語のあとに「黙るな、俺よ」が続きます。声を上げた人から受け取ったものを、自分自身への呼びかけにしているのです。

「勇気を持ちたい」という想いを、これから自分が立つ場所と、自分に言い聞かせる言葉へ変える。出来事の説明だったものが、歌うたびに口にできる決意になります。

強い言葉にも、引き受けたかった気持ちがある

この想いを、メタルロックの強い響きに乗せたいと思いました。歌詞にも、ひとりで矢面に立つこと、声が震えても引かないこと、他人に覚悟を預けないことを重ねています。

そこで思い出した気持ちを膨らませ、歌として強く言い切るための表現です。自分への呼びかけを作ることで、出来事から受け取ったものを伝えています。

歌にする前にあったのは、事なかれに慣れていた自分たちに気付き、忘れかけていた覚悟を思い出した感動でした。その気持ちが「無傷のいい人」という自分の姿になり、「黙るな、俺よ」という呼びかけになった。そうした出発点を知って聴くと、強い言葉の奥にある、少し後ろめたくて、それでも自分も声を上げたいという願いも聞こえてくるかもしれません。

「Be quiet」をYouTubeで聴く